スラムダンクの映画

スラダンの映画を観た。

評判がかなり良かったから期待してたけど微妙だった。期待値が高過ぎたというのも少しはあるかもしれないけど、原作既読の身としてフラットに観てもそこまで良い物じゃなかったと思う。

 

自分が原作スラムダンクに感じていた良さと映画版が押し出そうとしていた良さが剥離していると感じた。

全漫画の中で一番泣いた漫画がスラムダンクだけど、

"花道がさまざまな登場人物との出会い、経験を積んで、見栄で始めたバスケットボールにだんだんのめり込んで打ち込んでいく、バスケットボールが本当に好きになっていく"

とか、

"周りとのモチベーションの違いや三井との確執などでなかなか芽が出なかったゴリ、木暮ら3年が報われる様"

などの高校の部活、ひいては湘北高校バスケットボール部ならではの人間模様、そこで話を魅せていくといったところに自分は魅力を感じていた。

スポーツにかける情熱、という部分に自分は感動していた。

 

それに対して映画版はりょーちんにフィーチャーし、死別した兄弟とそれを取り巻く家族の環境というところが制作側の魅せたい部分だと思った。

 

原作版は重苦しくない世界観で人の生死などは描写せずともこれだけ感動、ドラマを読者に与えられるんだ、というところをすごいと感じていたので、映画版が打ち出した兄の死という装置は陳腐に感じた。

 

あとスラムダンクの世界ってこんなに冷たいやつ、嫌なやついるんだっけ?となった。(幼少期りょーちんの対戦相手、それを観にきてたコーチ、ドリブルにうるさいと怒るアパートのおばさん等)

感じ方次第の話になっちゃうけど、原作でも豊玉工業とか沢北呼び出しとかあったけどこんなじめっとした感じはしなかった。

シリアス度の高さ、作風の違いを如実に感じた。

この映画の感じだと原作の爆音イヤホン居眠り運転流川普通に大ごとになりそう。あんなんただの交通事故だしぶつかったのが子どもだったらどうすんだみたいな。

 

演出ももうちょっと見せ方あったんじゃないかと言う部分が多々あった。

泣かせまっせ〜!みたいなピアノのBGMとか観てて少し寒かったり、花道のガイジ行動があんまり漫画版みたいにギャグシーンナイズされてなくて共感生羞恥を感じたりした。

 

あと完全に好みの話だけど少年期りょーちんの一重っぽくて顎がない感じのキャラデザが好かなかった。今の井上雄彦先生の絵の感じ。井上先生ももうとんでもねえ大御所だし、話も、絵も、趣味が変わっちまうんだろうなと感じた。スラムダンクの絵柄が少年漫画最強まであると思ってる自分からすると悲しい。

 

ネガティブなことばかり書いたけど山王戦の映像は結構好きだった。構図も動きもかなり凝ってるように感じた。

映画スラダンはクソ映画!くらいに好かなかった点羅列しちゃったけど、総じて60点くらいだった自分には。おお、となるとこもまあ、あった。

でも最高の映画とか、2回観たとか、そんな感想はねえよなマジで。

 

 

ネットで大反響!みたいなものに素直に乗っかれる人達と趣味が合わないことがあるのは元からわかってたけど、最近はそういうものを冷笑してる人達とも趣味が合わないことが多くて、俺が言うことってどこでもウケないんじゃねーかな、俺ってクソつまんねえんじゃねーのかなと、不安になる。

 

流行りに乗った人をマスだと見下してマウントをとりたいとか、逆張り精神とか一切無しで、あんたほど映画観てるって言う人がこれをそんなに褒める!?そこまで大したものじゃない、というか、なんならおもしろくないだろっていう感情に、心底からなる。

 

その作品に求めてるものとか、どういったものが好みなのかとかそういうのが人それぞれ違うというだけで、数の大小はさておき、俺と合う人もいるか。

 

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